高額療養費制度は75歳以上も申請できる?自己負担限度額や医療費控除との併用は?
2017/08/07
75歳以上の方が長期入院されると、医療費はどれくらいかかるのか、身内の方は心配ですよね。
特にその年代の方は、年金生活となったら、支払いできるかどうかもわからない場合もあるでしょう。
医療費を援助してあげるとしても、なるべくお互いの負担は減らしたい。
入院費がかかりそうな場合、高額療養費制度か高額医療費制度、というものを使えば、自己負担限度額を超えた金額が戻ってくる。
そんな情報を耳にしたのですが、78歳の祖母の場合もでも申請できるのでしょうか。
そんな心配をするお孫さんのために、アドバイスをまとめたので、ご参考にしてくださいね。
高額療養費制度は75歳以上でも申請できますか?
結論を言うと、《申請は不要》で、自動的に適用されます。
なぜなら、75歳以上の方は後期高齢者保健に切り替わっていて、病院ではその保険証を提示すると、保険診療費から自己負担限度額を差し引いた金額を算出するからです。
そのため、病院の窓口で支払う金額は、すでに高額療養費制度を適用した後の金額となっています。
ですのであなたもお祖母さまも、還付申請の手続きを取る必要はありません。
ただし、病院によっては高額療養費限度額認定証 の提示を求められることがあります。
後期高齢者の高額療養費限度額認定証はどこに申請するの?
後期高齢者保健は、お住いの地域の広域保険連合が保険者となり、管轄しています。
例えば、東京広域保険連合とか、横浜広域保険連合、という形ですね。
具体的な名称と連絡先は、保険証に明記されていますので、ご安心ください。
もしもすでに申請してお持ちでしたらよいのですが、高額療養費制度の適用が初めてでしたら、早めに申請して発行してもらってくださいね。
また、限度額認定証は、基本的に年1回の更新が必要とされていますので、念のために保険者に問い合わせするとよいでしょう。
ご本人の代わりに、代理で申請もできますよ。
私の父は、保険証と限度額認定証を一つのケースに入れて、病院の窓口ではケースごと提出しています。
高額療養費制度の自己負担限度額は75歳以上ではどのくらい?
自己負担限度額は、所得区分によって違います。
おばあ様の場合、年金所得者とのことですので、
・所得区分が《一般》の場合、入院+外来で4万4千円
・住民税非課税の場合、
年金収入が年額80万以下など、給与所得ゼロなら15,000円
それ以外の方は24,600円
となります。
あと、70歳以上の方なら外来だけでも、保険診療費が
・一般区分なら12000円
・住民税非課税の方は8000円
を超えた分が、高額療養費制度で補てんされる金額となります。
病院の請求額が思ったより多いと感じたら?
請求書の内訳を確認しましょう。
ここで注意してほしいのですが、高額療養費制度で補てんされる対象、つまり高額療養費制度が適用されるのは、
《保険診療内でかかった費用》なんですね。
そのため、入院費用のうち、保険外でかかった費用には適用されません。
高額療養費制度の適用対象外となるのは、
例をあげると
・差額ベッド代
・食事代
・おむつ代、クリーニング代
・先端医療など、自費負担分(自由診療分)
です。
逆をいうと、保険診療内であれば、がんでもケガでも、重病の方でも適用されます。
金額も、保険診療費であれば何十万かかっても適用されています。
高額療養費制度と医療費控除は75歳以上の場合に併用できる?
嫌なことですが、もしもおばあ様の病状が思わしくなくて、終末医療を受けるかもしれない場合など、保険診療外の医療費がかさむことがあるかもしれません。
または歯科治療で自費でインプラントを入れた、とかですね。
その場合、年間で10万円を超えたなら医療費控除を、とお思いになるでしょう。
でももしもおばあ様が住民税非課税の場合は、医療費控除を申告する必要はありません。
その理由は、住民税非課税の方は、所得税もゼロとみなされているからです。
逆をいうと、所得税がゼロとみなされるので、住民税も課税されないのです。
そして医療費控除とは、所得金額から差し引いて、翌年度の所得税や住民税を安くしてもらうためのものです。
もとの所得がゼロとみなされていれば、差し引く元がないのですね。
補足とまとめ
75歳以上の後期高齢者の方への高額療養費の適用について、おわかり頂けたでしょうか?
後期高齢者の方は、外来だけでも高額療養費制度が適用されたり、複数の医療機関で受診しても、広域保険連合で合算して還付してくれるのです。
その際はお住いの市町村区から、還付金振り込み先の口座を教えてくださいと通知がありまいす。
(市町村区によっては、初回の適用時に口座を教えておけば2回目以降は自動的に振り込まれます)
ただし最近は、市町村区の担当者を装った振り込め詐欺も多発しています。
たとえば、直接ATMに来てくださいとか、電話口で口頭で口座番号を教えてください、とか、ですね。
本物の通知は、そのような形はとっていませんので、不審な通知があった場合は、必ず市町村区に確認してくださいね。
おばあ様のご病気が、順調に回復されますように。